生命保険会社が扱う年金商品について

入門編!

「保険は投資である」ということを書きましたが、年金商品群に関しては本当に投資としての性質が浮き彫りになるので、ここから考えていくことにしましょう。

「最新保険ランキング2021」という書籍で紹介されている個人年金保険ランキング1位の商品について考えてみましょう。30才の男性が加入して、2万6880円を35年間払い込み、65才から10年間、年間120万円ずつもらえる、という内容が標準案として紹介されています。

このランキング本によると、年金保険に関しては「返戻率」が105%を超えると優秀な商品であるそうです。この「返戻率」というのは、保険会社に支払ってもらう金額÷自分が支払った総額で計算する指標で、この保険の場合、2万6880円×12ヶ月×35年=約1130万円を支払って120万円×10年=1200万円をもらうので、大体106%くらいになります。

あ!お金が増えてお得やん!と思われるのは少し早すぎると思います。

まずはこれが投資商品であることを確認しましょう。今回は支払う人が受け取ることを想定するので、支払いする人は少なくとも75才まで死なないことを想定します。実際に、現時点で30才の方は平成3年頃に生まれた方だと思いますが、平成3年生まれの方は96才まで生きる人が半数以上になると考えられているので、75才まで生きる人は圧倒的に多数だと思いますので、この想定でお許しください。

投資の特徴は①元になる資金、②期待する結果、③投資期間、④変動性、⑤手数料の5つの特徴がありました。今回の年金保険は①2万6880円の月額掛金、②65才から10年間、120万円を受け取る、③35年の掛金支払い期間、ここまでは想像しやすいと思います。

では、④変動性はないでしょうか?

当然あります!イメージしやすいところから考えていきましょう。

[変動性その1]
  • 保険会社の倒産

これはわかりやすい変動性です。実は保険会社はかなり景気に敏感な会社であると考えることができます。1992年から2008年にかけて、日本では8社の保険会社が倒産しました。ふーん、8社か、危ないところに保険かけちゃいけないのね〜くらいに思いますよね。

当時、日本では保険会社は20社しかありませんでした。これは保険会社が法律で守られていた結果で、戦後すぐから保険会社20社体制だったそうです。この1992年から2008年にかけては日本のバブル崩壊、米国のドットコムバブル崩壊、リーマンショックなど定期的に大きな不況がありました。保険会社は基本的にどこでも資産運用しているので、株価や債券価格が下がると大きな損失が出ます。不景気に弱いのです。大きな不景気があると、業界の半数が倒れる可能性がある、保険業界は実はそういう業界だと言えそうです。

さて、保険会社が倒産した場合、保険金は返還されるでしょうか?

返還されます。でも、全額ではありません。この8社が倒産した時、掛金を払っていた加入者には8〜9割くらいの掛金が返ってきたそうです。

まとめると、不景気が来ると、場合によっては元本割れする。株式みたいですね。

[変動性その2]
  • 金利上昇リスク

話が一気にややこしくなりそうです。でも一生懸命考えていきましょう。

今や世界的に低金利で、日本の普通の銀行だと金利が0.001%程度しかつきません。しかし、かつては平気で5%くらいの金利がついていました。銀行に預けるだけで、年率5%もの割合でお金が増えていたのです。金利は現時点までは下がる一方ですが、マイナス金利にでもならない限り、これ以上下げることはできません。ということは、金利は上がる余地がまだあるということです。

この辺のことは自分が金利を払う立場になるとすごく身近なリスクとして理解できます。住宅ローンで固定金利制が人気なのは、金利が上がる可能性があると考える人がたくさんいるからではないでしょうか。仮に銀行金利が1%にでもなれば、35年後につく利息は返戻率などとは比べ物にならないほどのリターンが、銀行預金で持っているだけで受け取れる可能性があります。なんなら、35年のうち、最後の5年だけ金利1%でも十分に上回ることができる数字でしょう。となると、その期間に銀行に預けられない資産があることそのものが変動リスクになると考えられます。

金利が上がったらすぐに解約するよ〜!と思っているでしょう?

年金商品はたいてい、満期以外で取り出すと掛金から目減りして返ってくることになるので、損をしたくないという気持ちから、咄嗟に解約できないことも考えられるでしょう。

[変動リスクその3]
  • 途中解約リスク

上記でも少し触れましたが、年金商品はほとんどの場合、満期以外で解約すると自分が払い込んだ金額以下で帰ってきます。つまり、35年間払い込み続けられればいいのですが、払い込んだ金額をいざというときに解約して使おうとすると、目減りしてしまうのです。今は月額2〜3万くらいなら続けられるな、と思っていても、結婚、出産、育児、教育などで資金が必要になった時、それでも払い続けることは可能でしょうか。

実際に、かんぽ生命などの株式公開している会社では年金契約の解約件数実績という数字は公開されており、かんぽ生命では毎年全体の1%の人が解約しているようです。1%というと少なそうですが、35年間、99%の中に収まり続ける人は、全体の7割しかいない計算になってしまいます(理論上ですが)。

今回は年金商品の変動性の部分だけで少し長くなってしまいましたので、⑤手数料については次回で考えたいと思います。

ではまた、よろしくお願いします。

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