年金商品 vs. 投資 徹底比較

入門編!

前回まで、2回かけて民間保険会社が扱う年金商品について投資と同じ特徴を持っていることを確認しました。ここまでみて、ようやく比較ができますね。自分のお金を預ける先として何が自分に合っているのか、しっかり比較検討していきましょう。

おさらいになりますが、「最新保険ランキング2021(角川SSC)」より、個人年金保険ランキング1位のチャンピオンを紹介しましょう。

ニッセイみらいのカタチ年金保険

  • 30歳男性→月額2万6880円、
  • 35年間払い込み
  • 65歳から10年間120万円ずつ受け取れる

さて、ここでこの商品が投資商品であることを思い出すために、5つの要素に分解したいと思います。

①元金:月額2万6880円×12ヶ月×35年

②期待する結果:120万円×10年間

③期間:35年

④変動性:倒産リスク、金利上昇リスク、途中解約リスク

⑤手数料:およそ年利1%程度

手数料の計算は日本生命の運用成績から逆算したものです。日本生命は年2%程度で資産運用しており、年金保険の原資は全て運用に回されることを想定しています。実際には、新規加入者の掛金も流入するのでもっと手数料は高いと思われますが、今回はこの数字で考えます。

さて一方、投資の王様をお呼びしましょう。投資についてはまだ全然触れていないので、需要があれば解説したいところです。

堂々の保有純資産1位!なんと38.9兆円!

SPDR S&P500 ETF (SPY)

米国インデックス投資の先駆けで、最も長い運用期間と信頼の厚さが魅力でしょう。

  • 運用期間28年の実績のあるETF
  • 信託報酬は0.0945%
  • 設定来の年平均リターン10.19%(2021年3月31日現在)

うーん、さすがチャンピオン、すごいスペックです。

え、いや、

ちょっと何のはなしか全然わかりません・・

突然投資の話になってしまったので、こう感じてしまう方もいるかもしれないですが、とりあえずふーん。そういうのがあるのかー、くらいで読んでみていただけたらと思います。

さて、こちらは投資商品なので当然5つの要素に分解可能です。

①元金:1株単位での売買なので最低417ドル(4万5千円くらい)必要

②期待リターン:28年運用して年平均10%。長期運用すれば7~10%は期待できそう。

③投資期間:ファンドの設定では無期限。いつまで投資してもいいし、短い期間で満足すれば現金化してもいい。

④変動性:短期(1年以内)でみるとプラスにもマイナスにも20%以上値動きする。

⑤手数料:脅威の0.0945%!世の中にはもっと安いものもありますが、100万円預けても年間945円しかかかりません。

これだけ見て、投資をやったことのある方なら「うーん、やっぱりすごいなあ」という感想になりそうなのですが、投資のイメージがわかない人には②の年平均10%の意味があまり実感できない気がします。そこで、ちょっと乱暴な試算ですが、35年間この商品に2万6880円ずつ毎月資金を投入して、35年間ずっと10%で成長するとどうなるかを見てみましょう。

試しに非課税で計算すると、なんと驚きの9600万円に成長します。これが課税後は5900万円となります。しっかり納税してもなおこの結果です。いろいろなツッコミどころはあるのですが、②の期待リターンは5900万円ということができそうです。投資元金の合計が1120万円なので、最終的には526%の増加と書くこともできそうです。

さて、ここまで情報が出揃ったところで比較していきましょう。

チャンピオン対決! 年金保険 vs. 投資

では順番に比較していきましょう。

①元金

元金は年金保険ではほとんどの場合、自分で自由には設定できないです。35年後にいくら欲しいかによって選ぶことはできますが、いくつかの選択肢があるのみでしょう。一方、投資の方だとありとあらゆる可能性があります。最初にまとまった資金を投入してもいいし、積み立て金額も増減できます。自由度という意味では投資の方が大きいですね。ただし、自由度が大きいということは一定のペースで継続するのが難しいという面もありますね。この後の比較は、この元金の部分は同じだけの金額を、同じだけの期間投入することを前提として考えていきましょう。

②期待リターン

35年後の期待されるリターンは本当に全然違います!年金保険は120万円を10年間支払ってくれます。細かく考えると、ここにも少しからくりがあって、120万円を10年間で分割してもらう場合、1200万円を初年度に一括でもらうよりも金銭的価値が低い可能性が高いです。なので、1120万円を積み立てて、1200万円をもらう内容とは少し違うのですが、一旦細かい話は除外して、1200万円もらうと考えても、それでも6%増えただけです。投資のチャンピオンはさすが、期待リターンが大きいです。毎年課税されても5900万円を超えます。増えたお金の量だけでみると、80万円vs. 4780万円、実に約60倍の開きがあります。

③投資期間

ここも違いがあります。投資の場合は運用期間をしてされていません。35年後に一部を現金化しても、残りの金額を運用し続けることが可能です。使わない部分で増える可能性があるということですね。ちなみに、ファンドは現金化しなければずっと課税されることはありません(配当金は課税対象ですが)。年金保険は期間が決まっているので、35年後の65歳の時点で必ず終了となります。選択の自由が少ないということですね。

④変動性

ここが!今回の比較のキモになる部分だと思います。

投資って危ないんじゃないの?ギャンブルなんでしょ?

と思っている方も多いと思いますので、しっかり考えていきたいところです。僕に言わせれば、年金保険の方がよっぽどギャンブルだと思うからです。まずはおさらいですが、年金保険の変動性、つまり期待リターンが得られなかった場合とはどんなことが想定されるのかについてです。最も大きなリスクは年金保険を提供している会社の倒産でしょう。いやいや、保険大国ニッポンの保険会社が潰れるわけないじゃん、と思う方も多いと思うのですが、以前の投稿で確認したように、生命保険会社は景気に大きな影響を受ける業界です。かつて、10年足らずの間に20社しかなかった保険会社が8社倒産しました。その後、保険会社は増加し、今は40社以上が登録されているそうですが、日本人の人口は増えていません。これらの会社が、以前の会社と比べて、体力があるのでしょうか?その会社、どのくらい安全でしょうか?35年後の未来は誰にもわかりませんが、その会社に自分のお金を預けるのは、一種の賭け、ギャンブルとどのくらいの差があるでしょうか?

とはいえ、投資の世界の変動性は当然大きいです。今回のコロナウイルスが米国で流行り始めた頃は、今回紹介するSPYも大きく値下がりしました。1ヶ月ほどで最大44%も下落しています。

えー!やっぱりすごく損するじゃん!と考えるのは、まだ待ってください!

実は、15年以上の長期間で考えると、このSPYというファンドはどの期間を切り取っても成長しています。これには色々な理屈がありますが、長期間で見ると右肩上がりで、15年以上定額で積み立てた場合には元本割れのリスクはなかった(少なくともこの28年間は)ということです。コロナの影響で44%下落しても、15年前のSPYの一株の値段の方が安かったのです。

SPYの設定来の全チャート。どの15年を切り取っても必ずプラスになっている。

株の値段は毎日変動するので、15年の長きにわたり見守ることができるかどうかは一つの試練ですが、投資の世界ではこの試練に耐えればむしろこの変動性は大きな味方になります。

⑤手数料

ここの比較もとても重要です。なぜなら、保険会社はほとんどの商品について手数料を見えづらく設計しているからです。今回、ニッセイみらいのカタチ年金保険は年額1%程度の手数料だろうと予測していますが、実際にはもっと手数料(保険会社の「儲け」ですね)が高い設定で計算されている可能性もあります。

僕はかなり熱心にニッセイの営業の方に年金保険について営業された経験がありますが、1%の手数料のためにあれほど営業するのかは疑問があります。ほんとはもっともらっているのでは、と思っています笑。

一方で、投資の世界では手数料はよく見えるようになっています。手数料が低いだけで魅力となることを売り手も買い手もわかっているからです。今回引き合いに出てもらったSPYは信託報酬が0.0945%と、非常に低い手数料となっています。これはたくさんの人が投資している投資商品だからこそできるともいえますが、手数料が低いためたくさんの人が投資しているともいえます。

結論として、今回のチャンピオン対決では手数料は10倍程度の差をつけて、投資の方が圧倒的に安いということを確認できました。

本当に細かいところまで比較するためには、SPYを買う場合、購入手数料も勘案すべきですが、この手数料は証券会社ごとに多少の違いがあるため、今回は割愛しています。すみません。

徹底比較、総まとめ

さて、たくさん書いてきましたが、みなさんどうだったでしょうか?ここまで読んでもらえてますでしょうか?笑

ちょっとくどいところもあったかなあと自分でも思います笑

ただ、保険商品も広い意味で投資の一分野であり、投資の王様である株式投資には手も足も出なかったことがわかるかなと思います。特にこの年金保険に関しては「お金を投入して、結果としてお金を得る」という投資の性質がはっきり出ているので、比較することで「保険」のイメージと「投資」のイメージがどちらも変わるのではないかなと思っています。

僕が伝えたいのは、「投資」が怖いなら「保険」だって怖いし、「保険」を利用しないと損をすると思うなら、広い意味で「投資」をしているのと変わらないんだよ、ということです。保険の営業マンや、郵便局の窓口の人がどれほどいい人でも、どれほど信頼できるからと言っても、自分のお金の行き先を決めることができるのは自分だけです。今、契約を検討している年金保険、本当に必要ですか?もしくはもう契約してしまいましたか?次回は僕の母が契約した年金保険を解約した話を書きたいと思います。

今後もまた、よろしくお願いします。

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