年金商品について その2

入門編!

前回、保険会社の扱う年金商品は保険である、ということをしっかりと理解するために、年金商品の変動リスク(損をする可能性)について考えてみました。

今回はその続きとして、年金商品の手数料について考えていきましょう。

保険商品では手数料は非常に見えづらくなっています。実際、商品によっては、

パンフレットに契約の締結・維持や運用その他諸々の費用がかかることが記されているものの、「これらの費用は、保険金額・契約年齢・性別・経過期間などによって異なりますので、一律には記載できません」とも付記されています。

「いらない保険」後田亨・永田宏

とのことで、まさに見えづらい様子が伺えます。笑

見えづらいからといって、その手数料を甘くみてはいけません。

保険掛金の計算には「生命保険数理学」による計算が用いられます。これは深入りするとめちゃくちゃ難しい数式が延々と続くので、今回は手数料という意味で知っておきたいことだけ触れます。

生命保険数理学では、純保険料と営業保険料を別々に考えます。純保険料とは、「保険加入者みんなからお金を集めて、全く全てを事故のあった人に返すためには、どのくらい集めて、どのくらい返せるのか」を計算する考え方です。原理的に営業利益がでない考え方です。

それに対して営業保険料とは、その純保険料に付加保険料を加えて、「事故率が思ったよりも高く経過しても、保険会社が絶対に破綻しないように安全に掛金をもらいましょう」という計算方法で、保険会社の「責任準備金」の計算の基礎になるものです。保険に加入する人は実際にはこちらの、営業保険料を払っています。

つまり、保険に加入する人は「自分が受け取ることができる保障」と「保険会社を潰さないための安全マージン」の両方を払っています。これは当然、年金商品でもそういう設計になっています。

ここまで読んで、「え?年金商品は満期になったら自分の払い込んだ金額よりも多く返ってくるのに、手数料なんてどこでとるの?」という疑問がわきそうです。

では逆に、どうやったら保険会社は、我々が払い込んだ金額よりも多い金額を返すことができるのでしょうか?当然ですが、資産運用してお金を増やすことで、その原資を作っているのです。上場している生命保険会社なら年次報告書(有価証券報告書)などを調べればわかりますが、かんぽ生命では2019年の運用成績は1.8%、明治安田生命では2.8%程度、日本生命は明記していませんが大体2.2%程度の運用益がでています。

35年間、仮に2%で運用できたとしたら、払い込んだ金額に対してリターンは約144%となります。このうち、106%を返すだけで良いのですから、38%分が手数料として見ることができます。年間1%程度の手数料とみても良いでしょうか。

さらに踏み込んで調べると、年金商品の「生命保険数理学」的な性質を知ることができます。それは、年金の支払い原資として、現在支払っている人の掛金を回すことを想定している計算になっているのです。

年金支払額=(本人の積み立て部分×運用益)+現在積み立て中の人の積立額ー営業手数料

という意味の式が書いてあります。現在積み立て中の人の積立額に手をつけてはまずいのでは?と思うのですが、ここで思い出したいのが、積み立て期間中に解約すると積立金が全額返ってこないことです。この返さない部分は年金の支払い原資に使えることになっています。運用に失敗しても、新規契約により拡大し続けていけば絶対に破綻しない計算となっていて、保険会社が損をしないようにできています。実際、日本生命の年金保険による収入は1.1兆円、年金支払額は7900億円(2018年決算書類より)となっており、磐石です。

ちょっと深入りしすぎましたが、保険会社は資産運用を代行して、その手数料として年間数%かの利益を得ていることがわかりました。支払いしている本人は満期まで我慢しても、受け取ることができる運用益は約0.3%。圧倒的に保険会社有利に見えます。しかも、満期まで我慢できなければ、自分の積み立てたお金が他の人の年金か営業手数料に流れると思って間違いないでしょう。こちらの受け取り運用益はマイナスということになります。

さて、長くなってしまいましたが、年金商品の手数料について考えてみました。見えにくくなっているので、しっかりと意識することが難しいですが、保険会社の扱う年金商品には手数料がはっきりと存在しています。これを踏まえて、次回以降もまた考えていきましょう。

では次回もよろしくお願いします。

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